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【今井】厚生年金、未加入企業強制加入措置を検討
2016-02-24
本日の日本経済新聞のトップを飾ったのは「厚生年金、加入逃れ阻止。79万社特定、強制も」という見出しです。
企業版マイナンバーと国税庁が把握している納税情報をもとに、厚生年金保険の未加入企業等を特定するというものです。
未加入が確認できた時点で、文書や電話で加入を要請し、それでも加入しない場合は直接企業を訪問し、加入を求めるそうです。また、何度要請しても拒否するような悪質な企業については、立入検査に入り強制的に加入手続きを進める方針です。
そもそも、適切に加入されている企業等には直接関係のない話ではありますが、未加入企業等が79万社にも上るということは、それだけ厚生年金保険の財源が適切に確保されていないことを意味します。しかも、年金財政が苦しい中、消費税増税なども伴い、不法に加入しない企業等のために、法に則って事業運営している企業等が負担するという不公平な状況は、早期に打開すべきではないかとも思います。
また、紙面でも本来厚生年金に加入していれば、老後の年金額が増額となり、生活保護等の国庫負担も本来は軽減されるはずです。これらの企業の取り締まりについては、当然の流れでもあり、国もやっと重たい腰を上げたと言えるのではないでしょうか。
しかし、厚生年金をはじめとする社会保険料の会社負担分いついては、すでに従業員の賃金総額の15%を超える場合もあり、ある日突然強制加入されたとあっては、事業運営に多大な影響を及ぼす可能性があり、なんとか黒字経営している企業等も社会保険に加入したとたんに赤字化ということも想像できます。もっとも、納めるべきものを納めずして黒字と言えるかどうかという問題もありますが、いずれにしても外部から指摘を受けて対応するよりは、自ら申し出たほうが、計画性をもって対応できるものではないかを考えます。
加えて、年金機構の対応では、悪質と判断されるケースは過去に遡って加入させるケースもあり、従業員が数名の場合でも数百万円という社会保険料を納めることも実際に起こっています。
こういった動きを踏まえて、適切な対応を進めることを進言するとともに、日常的な労務管理に大きくかかわることですので、お困りの際にはお近くの社会保険労務士にご相談されることをお勧めします。